被災地支援

被災地における、仮設住宅のLPガス料金の恐るべき実態

LPガスは、公共性の高い国民生活に不可欠で重要な家庭エネルギーとして、LPガス販売事業者は、その公共性の高い事業であることを自覚して透明性のある料金で営業すべきだと、10年以上前から監督官庁の指導がされていました。
ところが、その環境に優れたLPガスを広く普及させる立場にある大手LP販売業者が、「企業としての社会的責任」を自覚することなく、それが被災者を困らせる深刻な実態になっていた現状を問題視して、協会では全国の消費者に重要事例案件としてその詳細を公開します。

 

当協会には、仮設住宅にお住まいの被災者からガス料金が高いとの苦情の相談が数多く寄せられておりました。そのなかで、H24.7月より、宮城県石巻市「石巻仮設住宅自治連合推進会」さんと協働で、約一年間にわたり値下げのアドバイス・交渉を行ってまいりました。  

H24.8月、自治連合推進会では約8.000世帯の仮設住宅を管轄しているなか、業者ごとの料金調査を行った結果は以下の通りでした。

A社   基本料金1.000円 従量料金@866円 (大手メーカーI社)
B社   基本料金1.000円 従量料金@615円
C社   基本料金1.000円 従量料金@518円・・・他、業者ごとにまちまちでした。

 

この異常に高い料金設定を踏まえ、協会では自治連合推進会に対し、ガス事業者との交渉次第では全世帯値下げが可能との見解を申し上げました。 値下げ交渉の根拠としては以下の理由になります。

仮設住宅建設に伴う、LPガスの各種配管工事や消費設備(コンロ・給湯器)設置費用は値引きなしの売価で、国費から一括現金で業者側に支払われており、それらの費用をガス料金に転嫁することは出来ないはず。

石巻管内の仮設住宅数千世帯に供給する地元大手ガスメーカーについては、従量料金が@800円を超える異常に高い料金設定で請求していたが、他社との同一条件下での工事・供給条件にも関わらず、その高額設定の根拠が不明確である。一方で、同社から仕入れたガスを販売している地元業者の方が安かったという理不尽なケースもあった。

競争環境が確立している首都圏では、同じ条件下で各企業の努力により@350~380円で供給体制を敷いている現状を考えれば、ガス業者側に有利な契約(団地によっては供給設備も県側に買い取らせている)にも関わらず被災者対象にした請求料金としては理解しがたい高額な設定と言える。

又、ガス配送・保安・検針コストについても、仮設住宅という集約された場所に一括して供給するために、コスト軽減化は可能であり、あえて高い料金設定にされる理由は全くないと考えられる。中には、@800円を超えるような単価があり、平均世帯(4人)冬季で一か月35.000円以上のガス代になってしまっている。

 

以上の要件・理由をもって、H24年7月~同年10月にわたり、自治連合推進会からLPガス供給各社に対し値下げ交渉を試みました。結果、各社は同様に値下げには応じられないとの回答に終始されたとの報告を受ける。

約一年間にわたり値下げ交渉を行ったが、これ以上の値下げ交渉による進展はないものと判断により協会スタッフが現地訪問し、石巻市仮設住宅全体のガス料金適正化に向けた打開策として、他県からLPガス事業者を参入する働きかけを行い、業者間の競争環境を創り出す方策で協議を行った。そして、H25.8/中旬 石巻管内の仮設住宅に、保安・即応体制も完備したうえで適正料金での供給が確約出来るLPガス事業者H社(本社・神奈川県)を選定した。

H25.9 協会代表が自治連合推進会を訪問。入居者全員の同意を得た数百世帯を対象に、高い料金設定の業者を対象に業者変更手続きの準備を行ない、同日、仮設住宅占有者でもある宮城県庁担当部署を訪問し、今までの交渉経緯を説明する。県側では被災者の意思を尊重するとの見解により実質同意を得る。

H25.10 新しいH社で業者変更を希望する世帯の工事日(10/29)が決定する。

とりわけ、極めて高い料金設定業者に対して優先的に変更手続きを断行する。

※H社:基本料金1.000円 単価@380円全世帯一律料金で、以降値上げは行なわないとの確約書(念書)を添えた契約での供給条件になる。団地によっては、ガス代が毎月半額になる。

さっそく、㎥単価@800円以上の対象業者(I社)から切り替え断行手続きを行ったが、その過程でI社の責任者が自治連合推進会に複数の地元ガス事業者を従えて訪問。業者変更を考え直してもらえる様、陳情を行う。一年間にわたる値下げ交渉を、頑なに拒否し続けた地元LPガス販売各社が、H社と同じ料金で供給することにしたとの今までの姿勢を一転した不条理な説明であった。

当然、競争環境を導入させるため自治連合会では拒否の姿勢を貫く。

H25.11 異常に高い料金設定の仮設団地を優先的に、とりわけ200世帯を対象に業者切り替えを断行した。

H25.11 複数の新聞社に、切り替え対象以外の世帯についても、地元ガス事業者から「値下げに応じた」との記事が掲載される。

  • ■読売新聞(宮城版) 2013年11月13日掲載
  • ■河北新報 2013年11月16日掲載
    ※単価@380円にするとの値下げの通知が、各ガス事業者から出されました。

 

宮城県石巻市管内全8.000世帯を対象に、適正化への道筋が可能となったこの活動は、今後、宮城県内のLPガス業界にも波紋が及ぶものと思料される。とりわけ、値下げに同意しない対象業者については今後も業者変更の選択権(業者間競争環境の確立)を仮設入居者が得たという事実については非常に大きな収穫となり、残る7.500世帯についても順次、値下げに同意させる競争環境を創り上げたといえます。

石巻自治連合推進会が今後、地元LPガス会社と値下げ協議の推移を見守りたいと思います。
今後の経過は、随時HP上で公開していきます。

これまでの経緯(詳細)・・・詳細を全て読む▼

H24.7 石巻仮設住宅自治連合会と協働で価格の調査をはじめる。
H24.8 約8,000世帯に供給する、複数社の「検針票」をもとに設定料金を割り出す。
H24.8/中旬 協会より、値下げ方法のアドバイスを説明し、必要資料を送付。先方ガス会社への値下げに関する「嘆願書」等作成の準備を行う。
H24.9 仮設城内団地に供給するI社より、単価を値下げする旨の通知が出される。
(基本料金1,000円/単価518円)→(基本料金1,000円/単価480円)・・まだまだ高い!!
H24.10 自治連合会と連絡。引き続き、各自治会の区長へ働きかける調整を行うとの報告を受ける。
H24.11 仮設城内団地が各ガス事業者へ嘆願書を提出。他の自治体も任意で嘆願書を提出する準備を行う。
H24.12 自治連合会に対して地元ガス事業者I社が訪れ、これ以上の値下げは行えないとの回答を行う。
H24.12/中旬 交渉の成果が出ないため、代わりに協会担当者(消費生活アドバイザー)からI社へ連絡。値下げ出来ない理由として、「競争による価格だけの料金ではないので高い」との事。再度、値下げの要求を突きつけるも、上長に確認を行うと保留される。
H24.12/下旬 協会から再度、I社へ連絡。値下げは難しいとの回答を受ける。
H25.1 協会からI社へ連絡。単価480円より値下げは行わないとの事。稟議を上げるために文面での要望が欲しいとの回答。
H25.1/中旬 直接交渉でも値下げが難しいため、協会ではマスメディア・非営利団体等を通じた側面からの支援で、仮設住宅全体の値下げを試みる。
H25.2 被災地支援を行う団体の協力を得て、マスメディアの紹介を受ける。
H25.3 新聞社の記者と接触し、仮設住宅の実態を報告。取材を働きかける。
H25.5 新聞社の取材が石巻仮設住宅にて行われる。同時に業者への取材も行われる。
H25.7 協会スタッフが現地訪問し、石巻市仮設住宅全体のガス料金値下げに向けた打開策として、他県からLPガス事業者を参入する働きかけを行い、業者間の競争環境を創り出す方策で協議を行う。
H25.8 被災地支援を行うNPOへ、側面支援の協力依頼を行う。
H25.8/中旬 石巻管内の仮設住宅に、適正料金での供給が確約出来るLPガス事業者(H社)を選定。
H25.9 協会代表が自治連合推進会を訪問。入居者全員の同意を得た数百世帯を対象に、高い料金設定の業者を対象とした業者変更手続きの準備を行なう。同日、仮設住宅占有者でもある宮城県庁担当部署を訪問し、今までの経緯を説明。
H25.10  新しいH社で業者変更を希望する世帯の工事日(10/29)が決定する。
※H社:基本料金1.000円 単価@380円全世帯一律料金で、以降値上げは行なわないとの 確約書(念書)を添えた契約での供給条件になる。
H25.10/下旬 自治連合推進会に複数のガス事業者が訪問。業者変更を考え直してもらえる様、陳情を行う。新しいH社と同じ料金で継続供給させてくれとの申し出があったが、競争環境を導入させるため、自治連合会で断わりを申し出る。
H25.11 自治連合推進会に加盟の200世帯の仮設住宅を切り替える方向で、新しいH社が任意で申し込みを受け付ける。順次切り替えの対応を行う。
H25.11 複数の新聞社に、切り替え対象以外の世帯が、ガス事業者から当協会が提示した適正価格で「値下げに応じた」との記事が掲載される。

 

石巻市仮設一覧

仮設名 住所 ガス会社 請求金額(税込み) 使用量 基本料金(明記あれば記載)
仮設万石浦団地 石巻市流留字中1-1付近 K社 ¥2,306 2.3 1000/518
仮設蛇田中央団地 石巻市向陽町4丁目7-1付近 T社 ¥3,570 4.8 1000/498
仮設渡波第1団地 石巻市渡波字四勺13-10付近 M社 ¥7,330 13.3 1000/448
仮設開成第1団地 石巻市開成1-24付近 I社 ¥9,349 9.1 1000/866
仮設開成第10団地 石巻市開成1-48付近 I社 ¥5,145 7.5 1000/518
仮設大橋中央団地 石巻市大橋3丁目3-27付近 I社(2) ¥3,670 4.8 1000/518
仮設大瓜団地 石巻市大瓜字鷲ノ巣42-2付近 M社 ¥1,432 0.7 1000/515
仮設押切沼団地 石巻市広渕字砂一90-1付近 T社 ¥5,194 7.9 1000/498
仮設城内団地 石巻市桃生町 城内字東嶺164付近 I社 ¥3,889 5.2㎥ 1000/520